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"重い"787 [├雑談]

787は軽いから低燃費

「B787が燃費を向上させることができた最大の理由は、CFRP(複合材)を積極的に採用して機体を大幅に軽量化したことです。」

787は従来機と比較して20%も燃費が良いことがウリですが、しばしばこんな説明がなされます。

 

ANAは1年間実際に使用してみて767とデータを比較し、「燃費低減効果は21%であった」と発表していますから、

ボーイングの「燃費2割向上」はダテではありませんでした    

CFRPの使用比率は従来機が10%~20%程度だったのですが、787ではそれが一気に50%になりました。

また、 CFRPは従来のアルミ合金と比較して強度は2倍以上、重量は約半分です。

軽くて丈夫なCFRPを大量に使用しているのですから、787は当然大幅に軽くなっているはず。

では実際のところどうなのでしょうか。全長がほぼ同じ767-300ERと比較してみました。

 

無題6.png

数字は極力本家ボーイングから、そして残念ながら肝心の自重はどちらも本家サイトに載っておらず、

いろいろなところでいろいろな数字が挙げられているのですが、最も信頼できそうなところから取ってきました。

ということで自重に関してはいろいろな数字が挙げられていたのですがそれでも、

767<787 という構図は変わりません。

767より787の方が、約1.26倍も重いのです。

 

「CFRP(複合材)を積極的に採用して機体を大幅に軽量化した」→「787は低燃費」

という表現は個人のサイトは言うに及ばず、様々なメディアで見受けられ、787の関連本の中にさえ見られます。

「CFRPは従来のアルミ合金と比較して強度は2倍以上、重量は約半分」とか、「大幅な軽量化で低燃費を実現」

といった宣伝文句からすると、767の自重は約90tですから、787は60tくらいかしらん。とオイラは考えてました。

しかし表から明らかな通り、実際には「787は軽いから低燃費」ではないのです。

 

軽いはずの787の方がなぜ重いのか

実は、「787って別に軽くないじゃん」ということは複数のサイトで既に取り上げられています。

そしてその理由として、全幅が26%大きいこと、最大離陸重量が21%大きいのでその分頑丈にしなければならないこと、

従来機より与圧を高めている(高度2,400m相当→1,800m相当)ため胴体を頑丈に造らねばならないこと等が挙げられています。

しかしこれらは787の重量がかさむことの説明にはなっているのですが、

・軽い複合材を多用しているはずなのになぜ重いのか

・重いにもかかわらずなぜ燃費がいいのか

の説明にはなっていません。

後者の疑問についての直接的な答えがANAの関連サイト に出ていました。

「787が在来機よりも20%も燃料消費を少なくできるという最大の理由はエンジンの効率のよさである。ボーイングによればそれが効率改善のほぼ3分の1を占めており、次いで空力特性の改善や複合材料の多用が4分の1ずつ、そして残りがシステムの改善によるものとされている。」

なのだそうです。

軽量化ではなく、「エンジン効率の良さ」こそ787の低燃費の最大の理由ということですね。

少し前の記事で「ハイバイパスファンの場合、ブリードエアは効率を悪くするため、これを廃止した」

というボーイングの説明を書きましたが、これの効果もかなりあるのでしょうね。

それでも、ボーイング自身が「複合材料の多用」を低燃費の理由の1つとして挙げています。

・重いにもかかわらずなぜ燃費がいいのか

という疑問については解決しましたが、

・軽い複合材を多用しているはずなのになぜ重いのか

という疑問は依然残ると共に、今度は新たに

・別に軽くないのに複合材が低燃費の理由となっているのはなぜか

という疑問が生じてしまいました。

この2つの疑問についてオイラなりにいろいろ調べてみたのですが、今のところハッキリした答えが見つかりません。

それでここから先は完全にオイラの妄想私見ですのでご了承くださいませ。

 

こちら に787ANA1号機の窓穴用に切り抜いた複合材の断面写真があります。

「厚みはおよそ6mmほど」と説明されております。

また、川崎重工の担当者が787胴体の制作について直接説明する動画がありました(5分20秒位~)

川重は787の前部胴体を担当しています。

巨大な筒を作っているわけですが、機首側よりも、より荷重の掛かる主翼側の方が外版の厚みが増しているとのことで、

実際にそれぞれの側の外版の断面をアップで見せていました。

具体的な数字は挙げられていなかったのですが、主翼付近の外版の厚みはおぢさんの指との比較でオイラが見た感じ2cm位。

担当者は「(機首側と比較して)倍の厚みになっています」と説明していました。

またこれは他サイト情報なのですが、窓の周辺は厚みを増しているのだそうです。

ただの筒かと思いきや、随分複雑な作りになっているのですね。

外版の内側に縦横に骨組みを張り巡らすのは従来機と同様です。

 

外版の厚みを部位によって変化させることは従来機も同様で、研磨、薬剤で溶かすなどして加工しています。

ということで、従来機も外版の厚みは部位によって様々なのですが、

それでも767の胴体部分の外版の厚みは2mm前後と説明されます。

上述の通り(オイラが調べた範囲では)787の外版の厚みは6mm~2cm程度。

ということは、787の外版は従来機と比較して3~10倍の厚みがある。ということになります。

同じ材質で厚みを3~10倍にしたら、重量も単純に3~10倍になるはず。

そこを複合材のおかげで微増に留めている。ということなんじゃないでしょうか。

これが、

・非常に軽くて丈夫な複合材を多用しているはずなのになぜ重いのか

の答えなんじゃないでしょうか?

でもなんでそんなに厚くしたんでしょうか??

767と比較して少し大きく、そして重くなったこと、与圧を高めたことしか思いつきませんが、そんなに厚くする必要あるのかしらん。

あるんでしょうね。

 

また、胴体は重いのですが、与圧は関係ない主翼、尾翼、尻尾部分は複合材の特性を十分に活かして従来機と比較して非常に軽い。

ということなのではないかと思いました。そしてこのことが、

・別に軽くないのに複合材が低燃費の理由となっているのはなぜか 

に対する答えなのではないかと。

 

以上、オイラなりに考えた憶測です。

ご意見、情報等お待ちしております m(_ _)m


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コメント 7

tooshiba

現物は比較対象よりも重くなっているのに、「軽量化した!」と喧伝していることに対しての疑問ですよね。

「B767と同じ材料(CFRP複合材ではなく)を使ったと仮定すると、その場合には、今よりも25%増しになった。だから、B787は20%軽くできたのだ!」という数字上のからくり?

ただ、エンジン以外の各部の「設計の最適化」で低燃費を獲得したということは、事実ではないでしょうか。
by tooshiba (2013-06-13 11:56) 

おろ・おろし

深~いウンチクありがとうございました。

この暑さの中、ハイブリッド車の夏場の燃費がどこまで伸びるか
エアコンを掛けずに、
身を持って、汗をかきながら、トライしている私にとって、
大変勉強になりました。

ちなみに一回車検を受けたSAIで、
画面表示では、20.1km/Lが、目下の最高値です。

だけど、いよいよA350の試験飛行ですね。
by おろ・おろし (2013-06-13 20:21) 

me-co

ホントに燃費がいいのか?信じられなくなりました。
おくるまのように、満タンに入れて⇒走って計測距離⇒また満タン入れて何リットル?ってやってないんでしょ?所詮、机上の数値・・・
ところで、飛行再開=生産ラインも、「さーバンバンつくりまっせー!」ということですが、おっと!ここから先は(_*_;)
by me-co (2013-06-13 20:28) 

鹿児島のこういち

その通りだと思います。(^^)
by 鹿児島のこういち (2013-06-14 05:37) 

とり

留守中のご訪問、ありがとうございました。m(_ _)m

■tooshibaさん
ボーイング自身は、「燃費向上の最大の理由はエンジン」と述べているのですが、
複合材使用機というイメージからメディアを含め外部が勝手に
「燃費向上の最大の理由は軽量化」と言っている。ということです。
オイラの書き方がまぎらわしかったですね。
記事一部修正しましたm(_ _)m

■おろ・おろしさん
恐縮ですm(_ _)m

SAIにお乗りなのですね。岡山でエアコンなしは相当の苦行だと思います。
その努力に頭が下がります。
A350の試験飛行も気になりますね~。
JAL,ANAも食指を伸ばしてますがどうなりますか。。。

■me-coさん
確かに満タン法はやらないですよね^^
ヒコーキの場合、フライトごとに風の影響、重量等、燃費に関わる条件がかなりばらつきますから、
燃費計算は単純ではないのでしょうね。
787の初フェリーフライトをしたANAの機長さんが会見の際、
「こんな少ない燃料で本当に太平洋を越せるのかと思いました」と語っていたそうです。

■鹿児島のこういちさん
ありがとうございます。
すごく気になっていることなので、今後も気を付けて調べてみようと思ってます。
by とり (2013-06-19 06:15) 

ほげほげ

超々ジュラルミン(A7000)の比重は2.85、
CRFPの比重は1枚当たり1.4くらいで厚さ0.3mmくらい。
大きな違いは金属の強度は等方性だけどCRFPは異方性。
強度がA7000が仮に500MPaとしてCRFPは仮に1GPaあったとしても
CRFPのこの強さっつうのは角度0°と180°に対しての強さで1°から179°
までは弱くなる。仮に10°づつ繊維の角度をずらして作ると全方角1GPa
となるとすると170枚必要。てことで全角度でちょうど良い強度が得られるように20枚とか30枚とか重ね合わせて使うとA7000より重くなったという
事じゃないでしょうか?仮にCRFPにしたら実は重くなったのが
事実だとしても、どこも怖くて書けないんじゃないでしょうか。。。
エンジン出力も少ないので主翼の作りが好燃費の要因だろうと勝手に
思い込んでいます。。。。
by ほげほげ (2013-10-11 01:32) 

とり

■ほげほげさん
貴重な情報ありがとうございましたm(_ _)m
「787はCRFP製だけど重い。」ということは、記事中でも取り上げましたが、
ANAの公式サイトにも出ているんですよ。
http://ana.vacau.com/
↑ここの②とか③とか。
また、「CRFPは一方向の強度しかないから、方向を変えて貼り重ねないといけない。」
ということも、この素材が使用されるようになった頃から言われていることと思います。
仰る通り主翼が高燃費に寄与したという点は確かにあるのだと思います。
by とり (2013-10-11 06:08) 

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